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舞台を見ました

ドイツに来てから6月にBraunschweigで演劇ユニット・ チェルフィッシュの「God Bless Baseball」、昨日はMüllheim an der Ruhrで劇団・地点の「ファッツァー」を見る機会がありました。どちらも日本人の知り合いが日本の劇団が来るよ〜と情報をくれたおかげ。本当にありがたい。倉敷にいてもなかなか機会が無いのに、ドイツで。

どちらも見る側にも忍耐と思考力を要求される舞台でしたが、その舞台の前にドイツ人の観客に向けてのガイダンスがありました。日本の社会情勢についてある程度知っておくことで、なぜ彼らが今このような表現をしているのか理解の一助になるだろうと。昨日のガイダンスでは、こう切り出されました。

「現在の安部晋三内閣は、まったくもって右派であり、日本をその方向に強く推し進めている。新しいナショナリズムを形成していると言ってもいいでしょう。もちろんそれに対抗している勢力もあり…」と。福島の現状なども含めて、震災後の日本を語られていました。ここまで明確に現状が日本のメディアで表現されることはなく、演劇を通して日本の状況に詳しい一人のドイツ人が淡々とこう語り始めたことに少なからずショックと安堵を受けました。

安堵というのは、明確に言語化された現状を耳にしたことで、自分の感じていることは間違いではないという安堵感。一方でその現状を事実として耳にすることで鳥肌が立つほどのショックと。それを日本語ではなくドイツ語という言語で聞いたことも大きいのかもしれません。

余談ですが、日本語は事実にせよ意見にせよ、それをコミュニケーションの中でポンと置いて提示することに向いていない言語だと思います。英語の「It is …」やドイツ語の「Es ist…」に当たるものが無いということを、ずいぶん前に本で読みましたが、その時日本語の言語特性を知ることで生きていきやすくなることがあるんだと、感心したものです。目の前に置かれた意見や事実を否定されても傷つかないけれど、日本語の場合はその否定が提示された事に向かわず発話した人間にダイレクトに向かってしまうと。

ドイツ語で耳にすると、ポンと置かれたその現実が重たい石のように目の前にドスンと落ちてきた感覚です。残念ながら私のドイツ語の力は乏しく、全てを明確に聞き取る事はできませんでしたが、舞台でのドラムやギターのリズムや繰り返される言葉たちと合わせて、頭の中でオーバーラップしています。明日は選挙で、私は今回手続きが間に合わないため選挙に行く事はできませんでしたが、現状に対してNOと思っている方々の思いが少しでも反映される結果になる事を祈る思いです。

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文字だけでは寂しいのでBraunschweigの街並み(6月)。

2016-07-09 | Posted in blog, 日記Comments Closed